植物工場システム市場の全体像
2025年時点で、世界の植物工場市場規模は約17億米ドルに達し、2030年には27億米ドルを超えると予測されています。日本国内では438箇所の植物工場が稼働しており、うち完全人工光型は187箇所、太陽光型170箇所、併用型33箇所となっています。市場参入企業は、大手建設会社、農業資材メーカー、電機メーカー、スタートアップなど多岐にわたり、それぞれが独自の強みを活かしたシステムを提供しています。
システムタイプの分類
植物工場システムは大きく3つに分類されます。完全人工光型は、LED照明のみで栽培を行い、天候に左右されず周年安定生産が可能です。閉鎖環境で農薬不要の栽培を実現できる一方、光熱費が高いという課題があります。太陽光利用型は、温室などで太陽光を主光源とし、補光や環境制御で生産性を高めます。太陽光・人工光併用型は、両者のハイブリッドで、曇天時の補光により収量と品質を安定化させます。
主要技術トレンド
環境制御技術では、温度・湿度・CO2濃度・光質を個別最適化するシステムが主流です。LED照明は波長調整により栄養価や成長速度をコントロールでき、RGB独立調光で17万通りの光質制御を実現する製品も登場しています。栽培方式は水耕栽培(DFT方式、NFT方式)が主流で、水使用量を従来農業比95%削減できます。自動化では、播種から収穫まで完全無人化した施設や、AIによる生育モニタリング・予測システムが実用化されています。
導入時の選定ポイント
栽培品目により適したシステムが異なります。葉物野菜(レタス、ほうれん草)は完全人工光型との相性が良く、35日程度の短サイクル栽培が可能です。トマトやイチゴなど果菜類は太陽光利用型または併用型が適しており、受粉技術も重要になります。生産規模では、コンテナ型の小規模システム(日産数百株)から、大規模工場型(日産数万株)まで選択肢があります。初期投資は数千万円から数億円規模、ランニングコストでは電気代と人件費が大きな比重を占めます。投資回収期間は通常5〜10年ですが、稼働率と販路確保が成否を分けます。
海外プレイヤーの動向
米国では80 Acres Farms、Plenty、Boweryなどが大型資金調達を実施し、完全自動化と規模拡大を推進しています。中東ではドバイを中心に水不足対策として植物工場への投資が活発です。欧州ではオランダ、ドイツが先進地域で、Jones Food Companyなどが小売チェーンへの安定供給を実現しています。アジアではシンガポール、中国が政府主導で導入を促進し、日本企業の技術輸出先としても注目されています。