AI創薬プラットフォーム企業とは
AI創薬プラットフォーム企業は、人工知能・機械学習技術を活用して創薬プロセスを革新する企業です。従来4〜6年かかっていた標的同定から化合物最適化までのプロセスを18ヶ月に短縮し、開発コストを25〜40%削減、成功率を20〜30ポイント向上させることが可能です。2026年時点で、世界中の製薬大手10社全てがAI創薬スタートアップと提携し、200以上のAI由来薬剤が臨床開発段階に進んでいます。
主要技術領域
標的同定(Target Discovery): オミックスデータやナレッジグラフを活用し、疾患に関連する新規標的タンパク質を発見します。BenevolentAIやInsilico MedicineのPandaOmicsなどが代表的です。
化合物生成・最適化: 生成AIや物理ベース計算化学により、標的に最適化された化合物を設計します。Insilico MedicineのChemistry42、Schrödingerの分子モデリングプラットフォームが活用されています。
ADMET予測: 化合物の吸収・分布・代謝・排泄・毒性を分子構造から予測し、早期に安全性リスクを評価します。InClinicoなどのツールが臨床試験予測に活用されています。
フェノミクススクリーニング: Recursion PharmaceuticalsとExscientiaの統合プラットフォームは、画像ベースの表現型スクリーニングと自動化された精密化学を組み合わせ、エンドツーエンドの創薬を実現しています。
市場動向と投資
AI創薬市場は2024年に約10億米ドル、2030年には79.4億米ドルに成長すると予測されています(CAGR 12.2%)。2024年だけでAI創薬スタートアップの資金調達額は30億ドルに達し、特にバイオ医薬品(11億ドル)と低分子薬(10億ドル)分野が活発です。RecursionとExscientiaの統合(評価額18億ドル)など、M&Aも活性化しています。
主要企業の動向
Insilico Medicineは2024年にシリーズEで1.1億ドルを調達し、評価額10億ドルを超えました。同社のTNIK阻害剤ISM001-055は特発性肺線維症(IPF)でPhase IIa陽性結果を報告しています。
Recursion-Exscientia統合により、10以上の臨床・前臨床プログラムと200億ドル以上のマイルストーン収益ポテンシャルを持つ統合プラットフォームが誕生しました。REC-1245(RBM39分解剤)のPhase 1データが2026年上半期に発表予定です。
SchrödingerはTakedaやBristol Myers Squibbとのパートナーシップを通じ、zasocitinib(TAK-279)をPhase IIIまで進めており、物理ベース設計の有効性を実証しています。
日本市場
日本では理化学研究所のDAIIAプロジェクトに17社の製薬企業が参画し、AI創薬プラットフォーム構築を推進しています。第一三共はAWSと協働して「AIエージェント統合型創薬基盤」を2026年運用開始予定、中外製薬は抗体医薬品最適化システム「MALEXA」を開発、アステラス製薬はAIで7ヶ月での新薬候補物質特定に成功するなど、大手製薬企業の取り組みが加速しています。