アンモニア燃料技術に取り組む企業の最新動向
アンモニア燃料は、燃焼時にCO₂を排出しない次世代のクリーン燃料として、世界中で急速に開発が進んでいます。特に船舶用エンジン、火力発電のガスタービン、製造プロセスにおいて、2025年〜2026年は商用化に向けた重要な転換点を迎えています。
日本は官民連携でアンモニア燃料の実用化をリードしており、IHIとJERAによる世界初の大型石炭火力発電所での20%混焼実証成功(2024年4月)や、Japan Engine Corporationによる船舶用アンモニア燃料エンジンの完成(2025年8月)など、世界に先駆けた成果を上げています。2026年11月にはアンモニア燃料船が就航予定です。
海外では、フィンランドのWärtsiläが4ストロークアンモニアエンジンを商用化し、2026年前半にノルウェーの洋上支援船「Viking Energy」への搭載を予定。MAN Energy Solutionsも2026年末までに2ストロークエンジンの商用化を計画しています。WinGDは韓国・現代尾浦造船所と協力し、2026年前半にExmar社向けLPG船への搭載を予定しています。
アンモニア製造分野では、世界最大のアンモニア生産者であるCF Industriesがルイジアナ州でブルーアンモニア製造プロジェクト(Blue Point)を推進中(2029年生産開始予定)。Yara Internationalは2026年にノルウェーのPorsgrunn工場を電力ベースのグリーンアンモニア製造に転換する計画です。
技術面では、従来のハーバー・ボッシュ法に水電解による水素を組み合わせるグリーンアンモニア製造が主流ですが、日本の東京工業大学発ベンチャーTsubame BHBは、従来の25%低温・75%低圧で合成できる革新的な電化物触媒技術を開発し、小規模分散型生産の道を開いています。オーストラリアのMonash大学発Jupiter Ionicsは、水素電解プロセスを省略できる一段階アンモニア合成技術で注目されています。
市場規模は2024年の794.7億ドルから2029年には919.5億ドルに成長する見込みで、欧州の炭素国境調整メカニズム(CBAM)が2026年に本格稼働することで、低炭素アンモニアは従来品より25〜100ドル/トンのプレミアム価格が見込まれます。日本政府は2030年までに300万トン、2050年までに3000万トンの燃料アンモニア導入を目標としています。