日本のAML市場を取り巻く状況と求められる対応
2021年のFATF第4次対日相互審査で日本は「重点フォローアップ国」に位置付けられ、2028年の第5次審査に向けて官民一体でAML/CFT態勢の抜本的強化が求められています。金融庁は2024-2026年度行動計画を公表し、リスクベース・アプローチに基づく実効性の高い対策を要求。この規制環境の変化により、金融機関はレガシーシステムからAI・機械学習を活用した次世代プラットフォームへの移行を迫られています。
国内AMLソリューション市場は大きく3つのセグメントに分類されます。第一に、NTTデータグループやSCSK、NECなどの大手SIerが提供する統合型システム。これらは取引モニタリング、顧客スクリーニング、リスク評価を一気通貫で実装し、300行以上の導入実績を持つものもあります。第二に、デロイト、PwC、KPMG、EYといったBig4や野村総合研究所、アビームコンサルティングが展開するアドバイザリーサービス。リスク評価書の策定、業務プロセス再構築、ベンダー選定支援まで上流工程を担います。第三に、NICE ActimizeやLSEG(World Check)などグローバルベンダーの日本展開で、特にスクリーニングデータベースの網羅性で優位性を持ちます。
技術トレンドとして注目すべきは、三井住友銀行とSASが取り組む邦銀初のAI判定モデルや、日立が実証実験を進める業界横断型のAML共同センター構想です。従来の固定ルールベースでは誤検知率が高く、年間数万件のアラートを人手で精査する負荷が問題でしたが、機械学習による動的スコアリングで真陽性率を大幅に改善する事例が出始めています。また、暗号資産やステーブルコイン普及に伴い、デジタルアセット特化型モニタリング機能の需要も急増中です。ベンダー選定では、単なる機能比較ではなく、FATF勧告への適合性、導入後の継続的チューニング体制、グローバル子会社への展開可否を重視する傾向が強まっています。コンプライアンス部門責任者は、2028年審査までの限られた時間で成果を出すため、実績豊富なパートナーとの協業が鍵となります。