2026年法改正対応が必須のアスベスト調査・除去業界
2023年10月から建築物の事前調査では有資格者による調査が義務化され、さらに2026年1月からは橋梁・煙突・プラント施設などの工作物についても「工作物石綿事前調査者」資格者による調査が必須となります。この法改正により、インフラ関連工事を請け負う事業者にとって、有資格者在籍企業の選定は避けて通れない課題です。
現在、建築物石綿含有建材調査者講習の修了者は全国で約18.6万人に達していますが(2023年12月末時点、厚生労働省調べ)、実際にアスベスト調査・除去を専門事業として展開している企業は限られています。法令改正前の推計でもアスベスト除去工事の市場規模は約2,346億円(2021年度環境省報告書)に達しており、2030年に向けて老朽建築物の解体棟数が著しく増加することから、専門業者への需要は今後も拡大が見込まれます。
アスベスト調査・除去は単なるコンプライアンス対応ではありません。施工不備による飛散事故は周辺住民の健康被害、工事停止、損害賠償訴訟に直結します。技術力・実績・体制を備えた専門会社の選定が、プロジェクトの成否を分けます。
専門会社選定の3つの重要ポイント
まず調査者資格の保有状況を確認してください。建築物石綿含有建材調査者には「特定」「一般」「一戸建て」の3種類があり、特定調査者は全ての建築物を調査可能です。複数名の有資格者を抱える企業は、大規模案件でも対応力があります。
次にワンストップ対応の可否が重要です。調査と除去工事を別会社に依頼すると、責任範囲が曖昧になり、工程管理も煩雑化します。事前調査から分析、除去工事、廃棄物処理、官庁届出まで一貫対応できる企業を選べば、中間マージンの削減とスムーズな工程管理が実現します。
最後に工法の選択肢を確認してください。従来の掻き落とし工法に加え、超高圧水洗浄工法やウォータージェット工法を採用している企業は、飛散リスクを大幅に低減できます。稼働中施設や近隣への配慮が必要な現場では、この工法選択が決定的な差を生みます。
| 対応レベル | 対象建材 | 飛散リスク |
|---|---|---|
| レベル1 | 吹付け石綿 | 著しく高い |
| レベル2 | 耐火被覆材・保温材・断熱材 | 高い |
| レベル3 | 成形板等 | 比較的低い |
地域別の業者分布と選定戦略
アスベスト測定関連企業だけでも全国に212社が確認されており、東京都・大阪府・神奈川県などの大都市圏に集中しています。しかし、地方の大規模プロジェクトでは全国対応可能な企業を選定する必要があります。東京・大阪に拠点を持ち、全国展開している企業は、地方案件でも本社の技術力・管理体制を投入できる強みがあります。
一方、地域密着型の専門会社は、地元自治体への届出手続きや補助金申請のノウハウに長けています。自治体によっては除去費用の2/3(上限300万円)を補助する制度があり、こうした制度活用支援まで行う地域企業の価値は高いといえます。
- 自社分析ラボの有無
- サンプル採取から分析まで自社完結できる企業は、最短2時間での分析結果提供が可能。工程短縮と精度向上を両立できます。
- ISO認証取得状況
- ISO 14001(環境マネジメント)やISO 9001(品質マネジメント)の取得企業は、組織的な品質管理体制を構築しており、大規模案件でも安定した施工品質が期待できます。
2026年以降の市場展望
現在義務化されているのは主に建築物ですが、2026年からは工作物も対象に加わります。橋梁、煙突、プラント設備などインフラ関連の調査需要が一気に拡大するため、工作物石綿事前調査者資格を持つ企業への引き合いが急増することが予想されます。今のうちに実績と信頼性を確認し、パートナー企業を選定しておくことが、スムーズなプロジェクト遂行の鍵となります。