日本のバイオガスプラントEPC市場の現状
2023年12月末時点で、FIT(固定価格買取制度)におけるバイオガス発電施設は新規導入が266件、9.9万kWに達しており、この4年間で認定施設が150件以上、導入量が3.5万kW以上増加しています。国内のバイオガス発電設備の平均容量は400~500kW程度で、ほとんどが2,000kW以内の地域密着型の安定供給施設です。
主要EPC事業者の技術的特徴
- 食品廃棄物系プラント
- JFEエンジニアリングは都市部の食品リサイクルで実績数・事業規模ともにトップクラスであり、札幌バイオフードリサイクル(100t/日、1,980kW)や愛知県バイオス小牧(120t/日、1,100kW)など大型プロジェクトを手がけています。
- 高温乾式メタン発酵
- タクマは高温乾式メタン発酵システムを採用し、生ごみだけでなく草木類や紙類もメタン発酵可能なコンバインドシステムを展開。FIT制度下でNo.1の納入実績(40件以上)を誇ります。
- 畜産系プラント
- コーンズ・エージーは1997年より家畜ふん尿処理を目的とするバイオガスプラント事業を開始し、2000年には日本初の個人農場バイオガスプラントを建設。国内約50基の実績があります。
- 下水処理統合型
- メタウォーターは発酵槽に担体を充填して高速メタン発酵を実現し、下水汚泥・生ごみの統合処理に強みを持ちます。
処理能力とプロジェクト規模
| プロジェクト事例 | 処理能力 | 発電出力 |
|---|---|---|
| 札幌バイオフードリサイクル | 100t/日 | 1,980kW |
| バイオス小牧 | 120t/日 | 1,100kW |
| 鹿追町環境保全センター | 210t/日(成牛3,000頭分) | 750kW(250kW×4基) |
| 清水町美蔓バイオガスプラント | 100t/日(2,000頭分) | — |
技術方式の選定ポイント
乾式メタン発酵は草木類・紙類も処理可能で含水率の低い原料に適しており、湿式メタン発酵は食品廃棄物や家畜ふん尿など含水率の高い原料に適しています。畜産系プラントは寒冷地での運転ノウハウが求められ、ヨーロッパ製設備と国内技術を組み合わせた施工実績が評価されます。
FIT制度と今後の展望
FIT買取価格は2012~2022年が39円/kWh、2023年から35円/kWhに変更され、2025年からは1,000kW以上の施設にFIP制度が適用されます。自家消費型や地域エネルギー活用モデル(士幌町のトマトハウス・温泉施設への熱供給等)も増加しており、EPC事業者にはプラント建設だけでなくO&M(運転保守)、電力販売、リサイクルループ設計まで含めた一体提案力が求められています。