2027年BIM義務化に向けた設備工事業界の動向
国土交通省は2026年春からBIM確認申請を段階的に開始し、2027年には一定規模以上の建築物でBIM活用が義務化される見通しです。建築設備工事業界では、この政策変更に対応すべく、主要企業が「設備BIM研究連絡会」を2023年1月に発足。朝日工業社、新菱冷熱工業、大気社、ダイダン、高砂熱学工業、東洋熱工業、日比谷総合設備、三建設備工業、九電工の9社が、Autodesk Revitを標準ツールとした施工プロセスのBIM標準化を推進しています。
BIM対応設備工事会社の市場規模
建設業許可統計(令和6年3月末)によれば、管工事業の許可業者は約86,000社、電気工事業は約60,000社が登録されています。設備工事業全体の純付加価値額は1兆666億円(前年度比20.1%増)と高付加価値化が顕著です。国土交通省調査では建設業界全体のBIM導入率は58.7%(2024年度)に達していますが、専門工事会社での普及は課題となっており、元請ゼネコンからの要請により急速に対応企業が増加しています。
主要設備工事会社のBIM実装状況
| 企業名 | BIM戦略 | 特徴的な取り組み |
|---|---|---|
| 高砂熱学工業 | DX戦略の根幹にBIMを位置付け | Revitによるデータベース化でコア事業変革、オートデスクとMOU締結 |
| 新菱冷熱工業 | 「つながるBIM」実践 | 設計から施工まで一貫したBIMワークフロー構築 |
| ダイダン | 現場ツール密接連携 | Revitと現場便利ツールの統合で施工効率化 |
| 朝日工業社 | 全社業務効率化 | Revit MEPトレーニング実施、見積ソフト連携検討 |
| 大気社 | 大規模プロジェクト対応 | JASM半導体工場で30社超の施工図面をBIMXDで統合管理 |
| 東洋熱工業 | リニューアル施工特化 | 3Dスキャナ+InfiPoints+RebroでBIMモデル作成時間を半減 |
CDE(共通データ環境)連携の重要性
竹中工務店など先進ゼネコンでは、Autodesk Construction Cloud(ACC)をCDEとして採用し、設計・生産・施工の部門横断で情報マネジメントを実施。設備工事会社もこれに対応し、協力会社や職人が利用しやすい別CDEとの使い分けも進んでいます。ISO 19650(BIM活用国際基準)認証取得企業も増加し、大和ハウスなどはCDE整備を経営戦略に組み込んでいます。発注者がBIM+CDE連携を要件とするケースが増加しており、対応できない企業は大型案件から排除されるリスクがあります。
電気設備工事会社のBIM導入
関電工、きんでん、九電工、トーエネック、ユアテックなど電力系設備工事大手5社は、2024年4-9月期に全社が売上高過去最高を記録。電気設備工事業界でもBIM対応が競争力の源泉となりつつあります。九電工は設備BIM研究連絡会に参画し、Revit標準化の動きに追随。電気設備分野では特に、配線経路の干渉チェックや数量自動積算でBIMの効果が顕著です。
中小設備工事会社の課題と対策
従業員300名以下の中小ゼネコンでもBIM導入は76%(2018年調査)に達しましたが、専門工事会社では「元請からのフィードバックが少ない」「初期投資負担が大きい」との課題が指摘されています。対策として、Joh Abroad等のBIM外注サービス(ベトナム・ネパールCADセンター活用で30-50%コスト削減)や、エプコのような35年の業界実績を持つBIM導入コンサルティングを活用する企業が増加。i-Construction 2.0政策により、今後は中小案件でもBIM要件化が予想され、対応遅れは受注機会喪失に直結します。
BIM人材育成と標準ファミリ開発
設備BIM研究連絡会では、施工に有用なRevitファミリ仕様の策定と共有を重点テーマとしています。各社が独自開発したファミリを業界で共有することで、重複投資を削減し、設備機器メーカーに対してもBIMデータ提供を要請。人材面では、Revitオペレーターの確保が各社共通の課題であり、社内トレーニングプログラムの整備やイズミコンサルティング等の外部研修活用が進んでいます。BIMマネージャー認定資格の取得推進も活発化しています。