法人信用調査会社の選定基準
与信管理部門が調査会社を選ぶ際、多くの担当者は帝国データバンクと東京商工リサーチの2社のみを検討する。しかし両社で国内シェアの約9割を占める寡占市場において、残り1割を構成する専門性の高い調査会社が、特定のニーズに対してより適切なソリューションを提供するケースは少なくない。
信用調査会社の選定において重要なのは、調査目的と調査会社の強みの適合性である。大手2社は網羅性と信頼性で優位に立つが、報告書の評点体系、定性コメントの詳細度、納期、価格体系は各社で大きく異なる。帝国データバンクは定性分析に強く、調査員による詳細な取材コメントが特徴である一方、東京商工リサーチはビジュアル重視の報告書とリスクスコア履歴のグラフィカルな表示で評価が高い。
中堅規模の調査会社では、リスクモンスターがAI与信判定による倒産リスク予測に特化し、クレディセイフは欧州本社のグローバルネットワークと無制限閲覧モデルで差別化している。地域特化型では、信用交換所が関西圏、東京経済が九州圏で強固な地盤を持ち、地場企業の詳細調査に強みを持つ。海外調査ではビューロー・ヴァン・ダイク(現ムーディーズ傘下)が世界2億社超のデータベースOrbisで非上場企業の財務情報を標準化して提供する。
近年の傾向として、単発の調査報告書購入からデータベース型の継続的モニタリングへの移行が進んでいる。アラームボックスのようなAI与信管理プラットフォームは、複数の調査会社データを統合し、リアルタイムでの与信限度額管理を可能にする。与信管理の高度化が求められる中、調査会社の選定は単なるコスト比較ではなく、自社の与信ポリシーとリスク許容度に基づく戦略的意思決定となっている。