データセンター建設市場の現在地と施工者選定の重要性
日本のデータセンター建設市場は2028年に投資規模1兆円超、サービス市場規模は2028年に5兆円に達する見込みです。クラウド・AI需要の急増により、ハイパースケールデータセンターの建設が加速しており、施工者の選定が事業の成否を分ける重要な局面となっています。
データセンター建設は一般の商業施設と異なり、建設費の45%を電気設備、25%を空調設備が占める特殊な構造です。大容量受電設備、無停電電源装置(UPS)、液冷・空冷システム、免震・耐震技術、通信インフラ構築など、専門性の高い工事の複合体であり、総合ゼネコンと専門サブコンの適切な組み合わせが不可欠です。
スーパーゼネコンの強みと実績
鹿島建設は1999年に国内初のデータセンターを建設し、2000年に業界初のDC専門部署を開設、過去にはシェア5割を占めた先駆者です。現在も世界規模の設計施工実績と「居ながら改修」技術で市場をリードしています。竹中工務店は独自の「2層フロア構造」でエアフローと配線効率を最適化し、AWSとの低炭素コンクリートプロジェクトでも技術力を発揮。大林組は2028年度に都心型DC事業へ本格参入し10年間で1,000億円投資を計画、清水建設大成建設も寡占市場の一翼を担っています。
専門工事会社の圧倒的専門性
電気設備ではきんでん(関西電力系)がDC施工工事でトップシェアを誇り、電源二重化・無停電化システムに強み。関電工(東京電力系)は関東地盤で高圧受電設備・変電設備に特化、トーエネック(中部電力系)は中部地方でインフラ実績を積んでいます。これら電力系サブコンは参入障壁が高く、過去実績と経営安定性が要求されるため新規参入が困難です。
空調設備では高砂熱学工業がDC向け運用対策サービス「グリーンエアーIDC」で国内外100件以上の実績を持ち、ASHRAEから世界第2位評価を獲得。新菱冷熱工業は地域冷暖房とプラント空調で大手、ダイダンは電気・空調・衛生設備を統合施工し31期ぶりの最高益を更新中です。
日比谷総合設備は創業50年以上でDC設備施工面積85万㎡(東京ドーム19個分)の実績を持ち、稼働中のDC改修工事に圧倒的な経験値を有します。NTTファシリティーズ日本コムシス富士古河E&Cなども、通信インフラと建築の融合領域で独自の強みを発揮しています。
技術トレンドと選定基準
AI需要によりラック密度が100kW超に上昇し、液冷・イマージョン冷却システムの導入が加速。高電圧配電、免震装置、低炭素コンクリート(AWS基準:エンボディドカーボン35%低減)など、希少なスキルセットが求められます。建設労働力は10年で20%減少し、賃金は16%上昇、法定残業規制がスケジュールを圧迫する中、EPC企業はトレーニングアカデミーやデジタルツインへ投資し専門知識を拡大しています。
ソフトバンクの苫小牧300MWキャンパスや関西電力の1,500億円変電所投資など、ギガワット級プロジェクトが現実化する今、過去実績・技術力・対応領域を正確に把握し、総合ゼネコンと専門サブコンを最適に組み合わせる施工者選定が、プロジェクトROIを左右する時代に入っています。