デジタル病理AI診断が変える病理ワークフロー
病理診断のデジタル化とAI導入は、世界的に加速しています。2017年にPhilips IntelliSiteが米FDA初承認を取得して以降、Paige AI(2021年、前立腺がん診断支援で初のAI単体承認)、Proscia Concentriq AP-Dx(2024年)など、相次いで臨床グレードのAI診断支援システムが承認されています。
現在、約80社がAIベースのデジタル病理サービスを提供しており、総額20億米ドル超の投資が60件以上の資金調達を通じて行われています。市場規模は2025年時点で約10億米ドル、2035年には23億米ドルに達すると予測され(CAGR 8.7%)、AI病理分析システムに限れば2034年までに5.3億米ドル規模(CAGR 17.2%)への成長が見込まれています。
主要プレイヤー:米国勢ではPathAI(Quest Diagnosticsと提携、$240M+調達)、Paige AI(Microsoftと共同開発の100万スライド基盤モデルをオープンソース公開)、Proscia(2025年に$50M調達、総額$130M)が先行。イスラエルのIbex Medical Analyticsは最も広く臨床導入されたプラットフォームとして知られ、RocheのNavify DPに統合されています。欧州ではデンマークのVisiopharm(IVDR承認9アルゴリズム)、ドイツのMindpeak(2024年に$15.3M調達、Rocheと提携)、Aignostics(Mayo Clinicと120万スライドで基盤モデル構築)が注目されています。
日本市場:メドメイン(病理所見作成効率化AIで特許取得)、AIメディカルサービス(gastroBASE screening X)、N Lab(長崎大発、MIXTURE製品で保険診療導入準備中)が国産AIを開発中。ただし日本の病理デジタル化はアジア内でも遅れており、AI学習に必要なデジタル画像ストックの少なさが課題です。AMEDのJP-AIDプロジェクト(2017年〜)が画像収集・AI開発を推進しています。
技術動向:2025-26年は「Pathology-Driven Precision Medicine」への移行期とされ、H&E染色スライドから単独でゲノムグレードのバイオマーカーを抽出する基盤モデル(Foundation Model)が台頭。PathAIは複数社のAIをAISightプラットフォームに統合し(Deep Bio、DoMore Diagnostics、Paige、Visiopharm)、ワンストップでアルゴリズムアクセスを提供。ProsciaはApertureで臨床試験リクルート自動化を実現し、診断時点で適格患者を自動識別する仕組みを導入しました。FDAは2025年Q1にAI/ML医療機器のライフサイクル管理・市販前申請ガイダンスを公表し、規制パスが明確化しています。
スキャナー・統合:Leica Aperio(Danaher傘下)、Philips IntelliSite、Hamamatsu NanoZoomer、3DHISTECH P250 Flash II、Roche(UFormとVentanaの買収で統合)などがWSIスキャナー市場をリード。PathPresenterはHamamatsu NanoZoomerでFDA 510(k)取得、vendor-agnosticなプラットフォームとして差別化。多くのAIベンダーはDICOM互換性とLIS/PACS統合を重視し、既存ワークフローへのシームレス組み込みを図っています。