日本のEDIサービス市場の現状
EDI(Electronic Data Interchange:電子データ交換)は、企業間で受発注・出荷・請求などの取引情報を標準化された規約で電子的にやり取りする仕組みです。2024年のISDN回線サービス終了(EDI 2024年問題)に伴い、従来のJCA手順・全銀手順からインターネットベースの流通BMS(JX手順、ebXML MS、AS2)への移行が加速しています。
国内EDIサービス市場は2016年度で118億円規模(ITR調査)、世界市場は2024年に399億ドル(IMARC Group)と評価されており、クラウド型EDIの普及により年平均6-12%の成長が見込まれています。
業界VANとインターネットEDI
日本では業界VAN(Value Added Network)が発達しており、加工食品・日用品・化粧品・医薬品・家電など各業界に特化したEDIネットワークが運営されています。代表的な業界VANには、化粧品日用品業界のプラネット(メーカー683社、卸477社参加)、酒類加工食品業界のファイネット(約2,000社、年間30億件のデータ交換)があります。
インターネットEDIの普及により、国際標準プロトコル(ebXML MS、EDIINT AS2)の採用が進み、グローバル取引への対応も容易になっています。消費財流通業界ではJX手順(日本独自、JCA後継)、電子機器業界ではECALGA(ebXML MS 3.0ベース)など、業界ごとに最適化された標準規格が策定されています。
主要サービスプロバイダー
TISインテックグループは国内最大規模のEDI事業者で、契約社数400社以上、接続ID数9万以上を誇り、富士キメラ総研調査で業界シェアNo.1を獲得。独自技術による並列・分散・遠隔稼働で災害耐性の高いEDIプラットフォームを提供しています。
キヤノンITソリューションズのEDI-Master Cloudは豊富なOpenAPIを提供し、基幹システムやEAI/ETLとのクラウド連携を実現。ISO/IEC 27017認証取得で国際規格に準拠したセキュリティを確保しています。
NECは電子機器業界向けのEIAJ規格準拠クラウド型データ集配信サービス「FITEDI」やWeb型EDI「購買WEBEDI/STANDARD」を提供。日立はTWX-21システムでサプライチェーン全体の情報共有を支援しています。
EDI導入のメリット
- 業務効率化:紙・FAXによる手作業を削減し、受発注処理を自動化
- コスト削減:通信費削減(従来型ISDN比)、人件費削減、ペーパーレス化
- 正確性向上:手入力ミスの排除、リアルタイムでのデータ照合
- スピードアップ:高速データ転送(流通BMSはJCA手順比で大幅高速化)、漢字・画像データ送受信可能
- グローバル対応:国際標準プロトコル(ebXML、AS2)によるグローバルサプライチェーン統合
最新トレンド:AI・デジタルインボイス
AI技術の活用により、EDIシステムはスケーラビリティ向上、処理速度高速化、プロアクティブなエラー処理など新機能を獲得しています。2023年10月のインボイス制度施行に伴い、デジタルインボイス標準仕様JP PINTが策定され、請求・支払業務のデジタル化が加速しています。
中小企業向けには、中小企業庁主導で国際標準CEFACT準拠の「中小企業共通EDI標準」の普及が進んでおり、低コストでEDI導入が可能なWeb EDIやBtoB ECプラットフォームも注目されています。