環境アセスメント専門コンサルタントの選定が事業の成否を左右する
大規模開発事業において環境影響評価(環境アセスメント)は法定手続きであり、その品質は事業の円滑な推進に直結します。特に風力・地熱発電などの再生可能エネルギー事業では、環境アセスメントに3~4年の期間を要するため、経験豊富なコンサルタントの選定が極めて重要です。
環境影響評価法の対象事業は、道路、ダム、鉄道、空港、発電所など13種類に及び、事業規模によって必ず実施が必要な「第一種事業」と、必要性を個別判断する「第二種事業」に分類されます。風力発電所では出力1万kW以上が第一種事業、7,500kW~1万kWが第二種事業とされています。
環境アセスメントの主要な手続き段階
- 配慮書手続
- 事業計画の早期段階で、複数案を比較検討し環境配慮の方向性を決定
- 方法書手続
- 調査・予測・評価の手法を決定し、住民・自治体の意見を聴取
- 準備書手続
- 環境影響の調査・予測・評価結果をまとめ、環境保全措置を提示
- 評価書手続
- 最終的な環境影響評価書を作成し、事業者の見解を示す
- 事後調査
- 工事中・供用後の環境への実際の影響をモニタリング
日本環境アセスメント協会(JEAS)には141法人が加盟しており、これらの専門コンサルタントは環境アセスメント士、技術士(建設部門・環境部門)、RCCM、環境計量士などの有資格者を多数擁しています。建設環境分野に特化した企業では、環境アセスメント士を数十名規模で配置し、大気環境、水環境、生物多様性、騒音・振動など多岐にわたる専門知識でプロジェクトを支援します。
| 専門分野 | 対応内容 | 主な対象事業 |
|---|---|---|
| 再生可能エネルギー | 風力・地熱・太陽光発電の環境影響評価、バードストライク調査、低周波音予測 | 陸上・洋上風力、地熱発電 |
| 社会インフラ | 道路・鉄道・空港・港湾の大気質・騒音予測、生態系保全対策 | 高速道路、新幹線、空港拡張 |
| 水資源開発 | ダム・河川事業の水質・底質調査、希少魚類保護、流況解析 | 多目的ダム、治水事業 |
| 廃棄物・リサイクル | 焼却施設・最終処分場の生活環境影響調査、住民説明会支援 | ごみ焼却施設、産廃処分場 |
| 都市開発 | 土地区画整理・工業団地の緑地保全、景観シミュレーション | 大規模商業施設、工業団地 |
近年、2050年カーボンニュートラル実現に向けて、風力発電を中心とした再生可能エネルギー事業の環境アセスメント需要が急増しています。特に洋上風力発電は新たな分野であり、海域の生態系調査、海鳥・海生哺乳類への影響評価、漁業との共生など、高度な専門性が求められます。
環境コンサルタント業界では、いであ株式会社、株式会社建設環境研究所など環境分野に特化した企業が、建設環境分野で売上比率50~70%を占め、業界をリードしています。また、日本工営、パシフィックコンサルタンツなど総合建設コンサルタント大手も、環境部門を強化し、インフラ計画と環境配慮を一体的に提案する体制を構築しています。
環境アセスメントの費用と期間: 環境アセスメント手続きには通常3~4年を要し、費用は事業規模や調査項目によって大きく異なります。小規模な生活環境影響調査で数十万円~数百万円、大規模な法定アセスメントでは数千万円以上に及ぶケースもあります。前倒環境調査(配慮書手続と並行した現地調査)の活用により、期間短縮が可能です。
コンサルタント選定では、類似事業の実績、環境アセスメント士・技術士などの有資格者数、自社での現地調査・分析能力(外注依存度)、地域住民との合意形成支援の経験、GIS・環境シミュレーション技術の保有状況などを総合的に評価することが重要です。また、日本環境アセスメント協会の会員企業は、倫理規定の遵守や継続的な技術研鑽が求められており、信頼性の指標となります。