耐火認定建材メーカー市場の全体像
日本の耐火建材市場は、建築基準法による厳格な防耐火基準に支えられ、約180社のメーカーが国土交通大臣認定を取得した製品を供給しています。市場規模は年間6億3,000万米ドル以上(2024-2029年予測)で、石膏ボード、ロックウール、窯業系サイディング、ALCパネル、耐火塗料、耐火被覆材など多様な製品カテゴリーが存在します。
設計事務所やゼネコンの資材調達担当者にとって、最大の課題は「国交省の認定番号検索では製品横断比較ができない」ことです。認定データベースには認定番号と申請者名しか記載されず、各メーカーの技術的特徴、施工性、コスト比較、納期対応力などの実務情報が欠如しています。本データは、耐火1時間・2時間・3時間といった性能区分別に、主要メーカーの製品仕様と特徴を一覧化しています。
主要セグメントと代表メーカー
石膏ボード系:吉野石膏が国内シェア70-80%を占め、タイガーボードブランドで準耐火・耐火構造に広く採用されています。リサイクルせっこうを活用した「タイガーR50/R100」などエコマーク認定製品も展開し、2026年以降の省エネ基準強化に対応しています。
ロックウール系:ニチアス、日本ロックウール(ニチアスグループ)、品川リフラなどが、鉄骨造の柱・梁耐火被覆材として高シェアを維持。巻き付けタイプ「マキベエ」(ニチアス)や吹付けロックウールは、高層ビル・工場で標準仕様化されています。認定番号はロックウール工業会で連名申請され各社共通ですが、施工性や納期対応で差別化が進んでいます。
窯業系外装材:ケイミューが外壁材で高シェアを持ち、不燃材料・準不燃材料認定に加え、1時間耐火構造認定(平成12年建設省告示1399号対応)を取得。耐火等級4対応製品は、準耐火建築物・耐火建築物の外壁仕様で指定されるケースが増加しています。
内装仕上材:アイカ工業の不燃化粧板「セラール」、旭化成建材のヘーベル、東リ・タキロンの不燃床材など、意匠性と防火性能を両立した製品群。商業施設・オフィスビルの内装制限がかかる用途で必須となります。
耐火塗料・被覆材:菊水化学工業が日本初の水系発泡性耐火塗料「ウェスタ」を開発し、1-2時間耐火認定を取得。SK化研(エスケー化研)も耐火被覆材・断熱材セグメントで実績を持ちます。
認定制度と調達実務のポイント
2000年の建築基準法改正で性能規定化が進み、大臣認定制度が本格化しました。認定番号は「構造種別(FP=耐火、QF=準耐火、PC=防火)+時間(分単位)+部位+通算番号」で構成され、例えば「FP060BE-9XXX」は柱(BE)の1時間耐火構造を示します。
実務上の留意点として、同一認定番号でも製品の入手性・施工業者の習熟度・現場条件への適合性が異なるため、複数メーカーの技術資料とコストを比較することが不可欠です。特に大規模プロジェクトでは、メーカーの生産能力・納期安定性・施工サポート体制が、仕様決定の重要ファクターとなります。
2026年以降の市場動向
省エネ基準の段階的義務化(2027年4月GXZEH基準導入予定)に伴い、断熱等性能等級6以上の確保が求められ、耐火性能と断熱性能を両立した複合建材の開発が加速しています。黒崎播磨は2026年3月期売上目標を1800億円に引き上げ、日本製鉄による完全子会社化で事業拡大を図ります。カーボンニュートラル対応として、吉野石膏のリサイクル石膏ボードや、木造耐火建材の技術革新(Obayashi CorporationのO·mega Wood (FR)など)も注目されています。