危険物輸送フォワーダー選定の重要性
化学品メーカーや電池メーカーにとって、危険物の国際輸送は事業継続の生命線です。IATA危険物規則書(DGR)や国際海上危険物規定(IMDG Code)への準拠は法的義務であり、一歩間違えば輸送停止、罰則、さらには重大事故につながります。
一般的な物流会社では対応できない危険物輸送において、専門知識を持つフォワーダーの選定は極めて重要です。日本国内にはJIFFA(国際フレイトフォワーダーズ協会)に加盟する500社以上の事業者が存在し、そのうち危険物輸送に対応できる企業は限定的です。
危険物輸送フォワーダーに求められる要件
- 法令遵守体制:IATA DGR(航空)・IMDG Code(海上)への完全準拠、定期的な規則書更新対応
- 専門人材:IATA認定危険物トレーニング修了者の配置、危険物安全管理者の常駐
- インフラ:消防法対応の危険物専用倉庫、UN認定容器の調達能力、適切なラベリング・マーキング体制
- 実績:リチウムイオン電池(UN3480/3481)、化学品(クラス8)、爆発物(クラス1)等の輸送経験
- グローバルネットワーク:仕向地国の規制対応力、現地パートナーとの連携体制
2026年以降の規制動向
IATA DGR第66版(2025年1月発効)では、リチウム電池駆動の乗り物について2026年より100Whを超える電池の充電率制限が必須となります。また、PI966でリチウムイオン電池(2.7Wh超)は定格容量の30%以下での輸送が義務化されるなど、規制は年々厳格化しています。
危険物ロジスティクス市場は2024年の2,590億ドルから2029年には3,480億ドルへ成長が見込まれ(年平均6.08%)、アジア太平洋地域が最も高い成長率を示すと予測されています。この成長に伴い、独自に危険物フルチェーンサービスを提供できるフォワーディング事業者の需要が急増しています。
主要フォワーダーの特徴
日本通運(NXグループ)は国内シェア25%を占める最大手で、「Sea&Rail DG」など危険品専用の複合輸送サービスを展開。内航船「ひまわり」シリーズでは火薬類の輸送も可能です。商船三井ロジスティクスはISO9001に基づく危険物取扱体制を整備し、全9クラスの危険物に対応。NRSは創業70年以上の化学品・危険物専門企業で、世界100拠点のネットワークを活用したドアツードアサービスが強みです。
日新は世界80仕向地への危険品サービスを提供し、横浜・神戸に危険物専用倉庫を保有。リチウムイオン電池の静脈物流ソリューション「LiBerth」も展開しています。海外勢ではDHL Global ForwardingがIATA DGR準拠の事前登録制で危険物輸送を受託し、グローバルな危険物輸送ネットワークを持ちます。
選定時のチェックポイント
フォワーダー選定では、自社製品の危険物クラス(UN番号)に対応実績があるか、専用倉庫の立地(港・空港へのアクセス)、梱包・ラベリングのワンストップ対応可否、緊急時の連絡体制(24時間対応)、保険付保の可否を確認すべきです。特に新規取引では、過去の事故歴や行政処分の有無も重要な判断材料となります。