グリーン水素製造を支える水電解装置メーカー
カーボンニュートラル実現に向けて、再生可能エネルギー由来のグリーン水素需要が急拡大しています。水電解装置は水を電気分解して水素を製造する中核設備であり、アルカリ型・PEM型・SOEC型・AEM型の4方式が競合・共存しながら市場を形成しています。
グローバル電解装置市場は2025年の76億ドルから2032年には1,823億ドルへ成長(CAGR 57.43%)すると予測されており、製造能力は2023年時点で25GWに達し、中国が約60%を占めています。2030年までには165GWを超える見込みです。
電解方式別の技術特性
アルカリ型(AWE)は最も歴史が長く、60-80℃で動作。大規模化に有利で設備費が最も低く、スタック寿命が長いことが特徴です。thyssenkrupp nucera、Nel、旭化成、Cummins等が主要メーカーです。
PEM型は50-80℃動作、高電流密度により小型化が可能で負荷追従性に優れ、再エネ変動電力に適しています。2035年までに市場シェア62.5%を占めると予測されます。Plug Power、ITM Power、Siemens Energy、高砂熱学工業等が展開しています。
SOEC型は600-1,000℃の高温動作により電気効率85-90%を実現しますが、材料コスト・熱管理・機械的劣化が課題で、現在はパイロット段階です。Bloom Energy、Topsoe、三菱重工業、Sunfire等が開発中です。
AEM型は次世代技術として注目され、レアメタルを使用せず室温付近で動作します。富士電機、大林組が実証を進めています。
日本メーカーの強み
日本企業は1923年の旭化成(当時アンモニア製造用)以来、100年超の水電解技術蓄積があります。旭化成は10MW基本ユニットのモジュラー設計で100MW超級装置を提供し、2030年に1,000億円売上を目標としています。カナデビア(旧日立造船)はPEM型で電解槽大型化に成功し、2030年代に1,000億円、2040年代に2,000億円を目指しています。東芝エネルギーシステムズはAWE・PEM・SOECの全方式で事業展開し、岩谷産業と10MW級装置を開発中です。
欧州・米国企業が先行してきましたが、中国企業が巨大自国市場を背景に規模拡大中であり、日本政府は2030年に日本企業の水電解装置導入目標を15GWと設定しています。