日本のハラール認証食品メーカーの全体像
日本国内でハラール認証を取得している食品製造企業は、2020年時点でNPO法人日本ハラール協会だけでも約185社・団体の実績があります。これらの企業は、醤油・味噌などの調味料から、食肉加工、製粉、塩、食品添加物、健康食品まで幅広い製品カテゴリをカバーしています。認証機関は日本国内に約20団体存在し、それぞれがマレーシアJAKIM、インドネシアMUI、シンガポールMUIS、UAE ESMA、湾岸諸国GACなどの海外認証機関と相互認証を結んでいます。
主要認証機関と国際的承認
日本の主要なハラール認証機関には、NPO法人日本ハラール協会、一般社団法人ハラル・ジャパン協会、日本イスラーム文化センター(JIT)、日本アジアハラール協会(NAHA)などがあります。これらの機関はそれぞれ独自の認証基準を持ちながらも、国際的に承認されたハラール認証を提供しています。特にNPO法人日本ハラール協会は、JAKIM(マレーシア)、MUIS(シンガポール)、BPJPH(インドネシア)、HAK(トルコ)、GAC(湾岸諸国)、MOIAT(UAE)から承認を受けており、認証製品の国際的な流通が可能です。
製品カテゴリ別の認証状況
認証企業の約70%は原料メーカーで、化学原料、化粧品原料、食品添加物などのB2B製品が中心です。一方、消費者向け製品では、醤油・味噌などの日本の伝統調味料、食肉加工品、製粉製品、塩製品などがハラール認証を取得しています。特にフンドーキン醤油のような大手調味料メーカーは、マレーシア国内での現地製造ブランド展開も開始しており、JAKIM認証を取得した照り焼きソースや胡麻ドレッシングなどを販売しています。日乃本食産は機内食を除くと日本国内初のハラール認証済み食品工場として約300種類の調理済み和食を製造しており、ホテル・旅館向けでは全国唯一のハラール対応工場です。
輸出向けハラール認証の戦略的価値
世界のハラール食品市場規模は2013年時点で約1.3兆米ドル、2019年には2.5兆米ドルに達すると予測されています。ムスリム人口は2050年までに27.6億人に増加する見通しで、中東・東南アジア市場への輸出を目指す日本企業にとってハラール認証は必須要件となっています。日本企業の多くはこれまで東南アジアの海外工場でハラール食品を製造してきましたが、近年は国内工場で認証を取得し「Made in Japan」ブランドで輸出する動きが加速しています。ゼンカイミート株式会社は熊本県にハラール屠畜専門の食肉加工施設を持ち、ムスリムの屠畜人が常駐することで信頼性の高いハラールビーフを提供しています。
訪日ムスリム対応とインバウンド市場
日本国内には約34万人のムスリムが居住しており、訪日ムスリム観光客は年間約150万人と推計されています。この需要に対応するため、レストラン・ホテル向けのハラール認証食材供給が重要になっています。日本海水は赤穂工場と讃岐工場で製造する全ての塩製品についてハラール認証を取得し、調味料の基礎原料としての供給体制を整えています。また、オリザ油化は2014年に業界初となるハラール認証付きこめ油の販売を開始し、ムスリムフレンドリーな食用油市場を開拓しています。
認証取得の実務と期間
食品・レストランのハラール認証取得は平均1か月程度ですが、化学薬品を使用する製品の場合は長期化する可能性があります。認証には製造ライン全体のハラール対応が求められ、原材料の由来、製造工程での交差汚染(コンタミネーション)防止、アルコール不使用の徹底などが審査されます。西尾製粉株式会社のように小麦粉・大豆粉・プレミックス粉などの製粉製品でハラール認証を取得することで、川下の食品メーカーへのハラール原料供給が可能になります。