高電圧ケーブル試験・診断サービスとは
高電圧ケーブルの試験・診断サービスは、電力会社、工場、プラント、大規模ビルなどで使用される高圧・特別高圧ケーブル(CV・CVTケーブル等)の絶縁劣化を検出し、電気事故を未然に防止するための専門サービスです。地中送電ケーブルや工場内配電ケーブルは経年劣化により絶縁体に水トリー現象が発生し、絶縁破壊事故のリスクが高まるため、定期的な診断が電気保安上不可欠となっています。
主要な試験・診断手法
日本国内で提供されている高圧ケーブル診断には、複数の技術的アプローチが存在します。直流漏れ電流法は最も基本的な手法で、ケーブルに直流高電圧を印加し漏れ電流の時間特性から劣化状態を判定します。IRC法(逆吸収電流法)は、従来の直流漏れ電流法では困難であった未橋絡水トリーの検出が可能で、ケーブルへのストレスが少ない利点があります。活線診断法(直流重畳法、低周波重畳法)は、ケーブルを停電せずに運転中の状態で診断できるため、設備停止が困難な施設で有効です。
tanδ測定(誘電正接試験)は、交流電圧を印加して絶縁物の誘電損を測定し、吸湿・汚損・ボイドでの部分放電を検出します。部分放電測定は、各印加電圧ごとの放電電荷量、放電開始電圧、放電消滅電圧を測定し、絶縁劣化の程度を精密に判定します。さらに交流耐電圧試験は、最大使用電圧の1.5倍の電圧を印加して絶縁性能を確認する竣工時・定期点検時の基本試験です。
サービス提供企業の特徴
日本国内の高圧ケーブル試験・診断サービス提供企業は、大きく以下のカテゴリーに分類されます。電力会社系列のサービス会社(東京電設サービス、関電工など)は、電力設備保全で培った豊富な経験とノウハウを持ち、活線診断技術に強みがあります。重電メーカー系列(東芝インフラテクノサービス、富士電機、日立など)は、自社製の診断装置と設備知識を活かした高精度診断を提供します。
プラント・エンジニアリング会社系列(JFEプラントエンジ、JECTECなど)は、工場・プラント設備の予知保全サービスの一環として診断を提供し、各地域の電気保安協会(中国電気保安協会、中部電気保安協会など)は、電気主任技術者による包括的な電気設備保安サービスとして試験を実施します。また独立系試験会社(フジクラ・ダイヤケーブル、セイトー電気など)は、診断装置の製造・販売と受託試験の両方を手掛けるケースが多く見られます。
業界動向と選定のポイント
近年、再生可能エネルギー施設の増加や工場設備の老朽化により、高圧ケーブル診断の需要が高まっています。太陽光・風力発電所の竣工時耐電圧試験、既設工場の予知保全診断、地中送電ケーブルの定期診断など、用途は多岐にわたります。サービス提供企業を選定する際は、対応可能な電圧クラス(高圧6.6kV、特別高圧22kV以上など)、採用している診断手法の種類、活線診断の可否、出張対応エリア、日本電気協会の技能認定証保有の有無などを確認することが重要です。