水素燃料電池フォークリフト市場の概要
日本における水素燃料電池(FC)フォークリフト市場は、2030年までに1万台の普及を目標に、政府と民間企業が連携して拡大を進めています。FCフォークリフトは稼働時にCO₂を一切排出せず、水素充填がわずか3分で完了する高い利便性から、24時間稼働の大型物流センターや工場、空港など使用頻度の高い現場に最適です。環境省の補助金制度(エンジン車との価格差の半額、上限550万円/台)や、東京都・愛知県など地方自治体の独自支援策により導入が促進されています。
製造・販売メーカー
豊田自動織機のトヨタL&Fカンパニーは、2016年に国内初となるFCフォークリフトの販売を開始し、業界をリードしています。2020年発売のトヨタMIRAIの燃料電池セルを活用した第2世代機では、FCシステムコストを30%削減し、耐久性を2倍に向上させました。1.8トンおよび2.5トンクラスのラインアップを展開し、希望小売価格は約998万円(税抜)です。ニチユ三菱フォークリフトは、北米で6,000台以上の実績を持つPlug Power社と提携し、日本の高圧ガス保安法に適合した燃料電池ユニットを共同開発しました。三菱ロジスネクストは、三菱重工グループとしてカーボンニュートラルポート(CNP)構想の一環で、1.75トンクラスの試作機による市場試験を実施しています。
水素充填インフラ
鈴木商館は、FCフォークリフト向け水素充填インフラのトップサプライヤーです。米国エアープロダクツ社製の35MPa水素ステーション「SmartFuel®」は世界20箇所以上の設置実績があり、約3分の充填で8時間の連続稼働を実現します。さらに、圧縮機や蓄圧器が不要な簡易水素充填機「ベルステーションmini35」を開発し、従来設備の1/10以下のコストで導入可能です。同社豊田事業所では太陽光発電による水素生成から使用までCO₂排出量ゼロを達成しています。キッツは東京都のグリーン水素製造・利用支援事業のモデルプランに採択され、水電解装置から蓄圧機、ディスペンサーまで統合した充填パッケージを提供しています。
導入事例と市場動向
トヨタ自動車は愛知県豊田市の元町工場に22台のFCフォークリフトを導入し、将来的に170~180台へ拡大予定です。イオンの福岡XD物流センターでは燃料電池小型トラックとともに遠隔無人フォークリフトAGFを導入し、2030年までにCO₂排出量35%削減を目指しています。名古屋港では鈴木商館の簡易水素充填車を活用したコンテナターミナル向け実証事業が進行中です。世界市場では北米を中心に累計3万台以上が稼働しており、日本の約430台と比べて大きな差がありますが、2024年の市場規模16.4億米ドルから2032年に48.4億米ドルへ、年平均15.92%の成長が見込まれています。