産業廃棄物処理業の許可業者とは
産業廃棄物処理業の許可業者とは、廃棄物処理法に基づき都道府県知事または政令市長から許可を受け、事業活動に伴って排出される産業廃棄物の収集運搬・中間処理・最終処分を行う事業者です。環境省の最新統計(令和4年度実績)によれば、全国の産業廃棄物処理業の許可件数は241,906件に達し、特別管理産業廃棄物処理業の許可も23,338件が交付されています。
産業廃棄物は法令により20種類に分類されており(汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類、紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残さ、ゴムくず、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず、鉱さい、がれき類、ばいじん、13号廃棄物等)、事業者は処理を委託する品目ごとに適正な許可を持つ業者を選定する必要があります。
市場規模と業界構造
産業廃棄物処理業の国内市場規模は年間約5兆円と推計され、2020年の売上金額は前年比6.7%増の2兆6,634億円に達しています。業界構造としては、全体の約4%の大手業者が売上の50%を占める寡占傾向にあり、TREホールディングス、大栄環境、ダイセキ、ミダックホールディングス、エンビプロ・ホールディングスといった上場企業が市場をリードしています。
一方で、主業として産廃処理業を営む企業は許可事業者全体の1割程度とされ、多くの企業が自社のコア事業で発生する廃棄物を処理するため副業的に営んでいます。処理品目・エリア・業種区分(収集運搬・中間処理・最終処分)が細かく認可制であるため市場は細分化されており、独自の技術・ノウハウを有する事業者は競合の少ないニッチ市場で事業を展開できる構造になっています。
特別管理産業廃棄物への対応
産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性など人の健康や生活環境に被害を生ずるおそれがあるものは特別管理産業廃棄物として指定され、通常の産廃よりも厳格な管理が求められます。対象には引火性廃油、廃強酸、廃強アルカリ、感染性廃棄物、廃PCB、廃水銀、廃石綿(アスベスト)などが含まれ、排出事業者は特別管理産業廃棄物管理責任者を選任し、専門的な処理能力を持つ許可業者に委託する必要があります。
優良認定制度と選定基準
環境省および都道府県は、遵法性・事業の透明性・環境配慮の取組等において優れた産廃処理業者を「優良認定業者」として認定しています。東京都の「産廃エキスパート」「産廃プロフェッショナル」制度など、自治体独自の認定制度も存在します。製造業の環境管理担当者が委託先を選定する際には、許可の有無だけでなく、処理実績、リサイクル率、コンプライアンス体制、優良認定の有無などを総合的に評価することが重要です。
業界の今後
最終処分場の確保が年々困難になる一方、企業の環境意識向上により高度な処理を求める傾向が強まり、処理単価は上昇傾向にあります。世界的な脱炭素化の潮流を受け、廃プラスチックや車載用電池からの再資源化、再生燃料製造など、「廃棄物処理」から「資源循環」へと業界の軸足が移りつつあります。令和4年度の最終処分場残余年数は20.0年とされ、持続可能な廃棄物処理体制の構築が喫緊の課題となっています。