ISO14001認証を取得している化学メーカーとは
ISO14001は環境マネジメントシステムに関する国際規格で、企業が環境保護と変化する環境状態への対応を体系的に行うための枠組みを提供します。日本国内では2025年3月時点で21,422社がISO14001認証を取得しており、その中で化学メーカーは製造業の中核として大きな割合を占めています。
化学産業は日本の製造業における出荷額の8.4%(産業別3位)、付加価値額の10.6%(同3位)を占める基幹産業です。環境負荷が高い産業という社会的イメージから、化学メーカーは特にISO14001認証取得に積極的で、環境マネジメントの実効性を対外的に証明する重要な手段としています。
日本の化学メーカーにおけるISO14001の普及状況
日本適合性認定協会(JAB)の統計によると、2023年10月時点でのISO14001取得国内企業数は12,696件に達し、国別では中国に次いで世界第2位です。化学工業は「建設業」「基礎金属・加工金属製品」と並んで取得件数が多い業種の一つとして知られています。
主要化学メーカーでは、グループ全体でのマルチサイト認証取得が一般的です。例えば三菱ケミカルグループは全世界の多くの生産拠点でISO14001を取得し、定期的な内部監査・外部監査を実施しています。花王グループは国内事業会社7社とその子会社の100%(合計63拠点)でマルチサイト認証を取得しており、資生堂グループは国内外10工場でISO14001認証を取得しています(認証取得率100%)。
環境マネジメントシステムの実践例
| 企業グループ | 認証取得状況 | 特徴的な取り組み |
|---|---|---|
| 三菱ケミカルグループ | 全世界多数の生産拠点で取得 | PDCAサイクルによる継続的改善、定期監査 |
| 花王グループ | 国内66拠点、海外52社/拠点 | マルチサイト認証、全社横断的活動 |
| 資生堂グループ | 国内外10工場(取得率100%) | 1997年よりシステム導入、TNFD対応 |
| 信越化学工業 | 1996年群馬事業所が業界初取得 | 化学系大手企業として国内初、グループ展開 |
認証取得のメリットと課題
化学メーカーがISO14001を取得する主なメリットは、環境リスクの体系的管理、法規制遵守の徹底、サプライチェーン取引要件の充足、企業ブランド価値の向上です。特にB2B取引では、調達先選定において環境認証の有無が重要な判断基準となるケースが増加しています。
一方で、認証取得には初期投資とシステム構築のコストがかかり、3年ごとの更新審査や年次の維持審査も必要です。中小化学メーカーでは、経済産業省の調査によると大企業に比べISO14001取得件数が少なく、費用対効果の観点から導入を見送るケースも見られます。
認証機関と検索方法
ISO14001の認証審査は、JAB(公益財団法人日本適合性認定協会)が認定した認証機関が実施します。主要な認証機関には、一般財団法人日本品質保証機構(JQA)、インターテック・サーティフィケーション株式会社(Intertek)、エイエスアール株式会社(ASR)などがあります。
化学メーカーのISO14001取得状況を調べるには、JABの認証組織検索を利用し、産業分類を「化学」に絞って検索するのが最も確実な方法です。また、各企業のサステナビリティ報告書やCSRレポートでも詳細な認証情報が公開されています。
「ISO14001は化学メーカーにとって、環境負荷低減への本気度を示す国際的な証明書です。サプライチェーン全体で環境意識が高まる中、認証取得は競争力の源泉となっています。」