ISO27001認証取得SaaS企業の現状
2025年12月時点で、日本国内のISO27001(ISMS)認証取得企業数は8,333社に達しており、2022年9月以降の2年3か月で約1,000件増加しています。業種別では情報技術分野が58.2%を占め、その中にSaaS企業が多数含まれています。クラウドサービス利用の拡大に伴い、情報セキュリティ対策は顧客からの必須要件となっており、特に大企業や官公庁との取引においてISO27001認証は事実上の標準資格となっています。
認証取得がSaaS企業に必須である理由
多くの企業では、SaaS事業者に対してセキュリティチェックシートの記入を求めますが、ISO27001などの認証を取得している場合、関連する質問項目を省略できる仕組みを採用しています。つまり、認証を持たないSaaS企業は、そもそも候補として検討されないケースが増えているのが実情です。セキュリティ認証の有無が、大企業との取引機会を左右する決定的な要因となっています。
主要SaaS企業の認証取得状況
| 企業名 | 主要サービス | ISO27001 | ISO27017 | 初回登録 |
|---|---|---|---|---|
| サイボウズ | kintone、Garoon | IS 577142 | CLOUD 715091 | 非公開 |
| KUFU(SmartHR) | 人事労務SaaS | ISA IS 0168 | - | 2016年3月 |
| マネーフォワード | クラウド会計 | 取得済 | - | 2024年9月 |
| HENNGE | クラウドセキュリティ | 取得済 | 取得済 | 2007年12月 |
| Chatwork | ビジネスチャット | 取得済 | 取得済 | 2013年5月 |
認証の種類とその違い
- ISO/IEC 27001(ISMS)
- 情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格。組織が保有する情報資産のリスクを適切に管理するための基本的な枠組みを定めています。
- ISO/IEC 27017(ISMSクラウドセキュリティ)
- ISO27001にクラウドサービス固有の管理策を追加した規格。クラウドサービスプロバイダとカスタマの両方に適用され、より高度なセキュリティ保証を提供します。
- ISO/IEC 27018(クラウド個人情報保護)
- クラウド環境における個人情報の保護に特化した規格。GDPRなどのプライバシー規制への対応を示す指標となります。
認証取得の投資対効果
ISMS認証取得には50万円から300万円のコンサルティング費用がかかり、年間の維持コストも発生します。しかし、大企業との取引機会損失を考えると、認証取得は必須投資と言えます。特にエンタープライズ市場を狙うSaaS企業にとって、認証がないことで商談の入口にすら立てない状況が常態化しています。
今後の動向
2025年以降、ISO27001の2022年版への移行が本格化しており、既存の認証取得企業も対応が求められています。また、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)やSOC2など、複数の認証を組み合わせて取得する企業が増加しています。グローバル展開を視野に入れるSaaS企業にとって、ISO27001は最低限の要件であり、さらに高度な認証取得が競争力の源泉となっています。