JIS認証対応の鉄鋼試験所の選定基準
鉄鋼メーカーや加工業者が材料試験を外注する際、最も重要な要件は試験成績書の信頼性です。JNLA(産業標準化法試験事業者登録制度)に登録された試験所は、ISO/IEC 17025の厳格な要求事項に適合し、NITEによる定期的な審査を受けています。
JIS製品認証において、製品検査で外部の試験所を利用する場合、その試験所はJIS Q 17025に適合することが求められます。認定機関により登録された試験機関で実施された試験データのみが、認証手続きにおいて有効とされるため、試験所の選定は極めて重要です。
JNLA鉄鋼・非鉄金属分野の登録事業者
NITE(製品評価技術基盤機構)が管理するJNLA制度では、鉄鋼・非鉄金属分野の登録試験事業者が検索可能なデータベースとして公開されています。2025年12月時点で、日本全国に100以上の登録事業所が存在し、それぞれが特定のJIS規格試験項目について認定を受けています。
鉄鋼業界における主要試験項目
- 引張試験(JIS Z 2241):引張強度、降伏点、伸び、絞りなどの機械的性質を測定。鉄鋼材料の最も基本的な特性評価
- 成分分析(JIS G 0321):ICP-OES、蛍光X線分析、湿式化学分析による鋼材の化学成分の定量分析
- 衝撃試験(JIS Z 2242):シャルピー衝撃試験による材料の靭性評価
- 硬さ試験:ビッカース、ロックウェル硬さ試験による表面硬度の測定
- 破壊靭性試験:CTOD試験、KIc試験による脆性破壊特性の評価
国際相互承認(ILAC-MRA)対応試験所の重要性
輸出向け製品の試験成績書が必要な場合、国際MRA対応認定試験事業者の選定が不可欠です。ILAC-MRAマーク付き試験報告書は、世界100カ国以上で認められ、海外顧客への製品納入時に再試験を要求されるリスクを大幅に低減します。国際MRA対応認定を受けるには、JNLA登録に加えて定期的な外部検査と技能試験への参加が要件となります。
大手鉄鋼メーカー系試験機関の特徴
日鉄テクノロジー、JFEテクノリサーチ、神戸工業試験場などの鉄鋼メーカーグループ系試験機関は、母体企業における長年の品質保証・研究開発の経験を活かした高度な試験技術を保有しています。特に特殊鋼、高合金鋼、高張力鋼などの高度な材料特性評価において、豊富な実績とノウハウを有しています。
一方、建材試験センター、JQA(日本品質保証機構)などの独立系第三者機関は、幅広い業界の試験を手掛けており、中立性が求められる場面で選ばれます。また、SGSジャパンなどのグローバル検査機関は、海外拠点との連携により国際的な試験ニーズに対応可能です。
試験成績書の法的有効性と3年周期の認証維持
JISマーク認証を取得・維持する企業は、3年ごとの定期的な認証維持審査を受ける必要があり、その際に製品試験が実施されます。この製品試験は、JNLA登録試験所または認証機関が認めた試験所で実施されなければならず、認定されていない試験所のデータは認証手続きにおいて無効となります。