医療機器ユーザビリティ試験受託機関の重要性
2024年4月以降、日本国内で製造販売される医療機器は、JIS T 62366-1:2022への適合確認が必須となりました。この規格は、使用エラーを最小限に抑え、医療機器の安全な使用を実現するためのユーザビリティエンジニアリングプロセスを定めています。PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機器)への承認申請において、ユーザビリティエンジニアリングファイルの提出が求められるケースが増加しており、客観性を担保するために第三者試験機関の活用が不可欠です。
規制要件の変遷
IEC 62366は2007年に初版が発行され、2015年にIEC 62366-1として改訂されました。日本では、この国際規格を基にJIS T 62366-1:2019が制定され、さらに2022年にIEC 62366-1:2015/AMD 1:2020の内容を含むJIS T 62366-1:2022が発行されました。厚生労働省の通知により、2024年4月から新規格への対応が義務化されています。
試験の種類と目的
- 形成的試験(Formative Testing)
- 研究開発段階で設計上の問題を特定し、改善を繰り返すための試験。ユーザーインターフェースの仕様策定や、潜在的な使用エラーの洗い出しに活用されます。
- 総括的試験(Summative Testing)
- 規制当局への提出を目的とした最終検証試験。代表的なユーザーによる実使用環境での評価を通じて、安全性と有効性を証明します。
受託機関の選定ポイント
医療機器メーカーの薬事担当者や開発部門が受託機関を選ぶ際には、以下の要素を考慮する必要があります:
- 規制対応の実績:PMDA、FDA、EU MDRなど、各国規制当局への提出実績があるか
- 試験環境の充実度:実際の使用環境(手術室、病棟等)を再現できる施設があるか
- 専門性:ヒューマンファクター工学の専門家や臨床経験者が在籍しているか
- リスクマネジメントとの連携:ISO 14971との統合的な対応が可能か
日本における市場動向
2019年度の医薬品・医療機器産業実態調査によれば、日本国内の医療機器製造販売業者数は約2,681社に達しています。医療機器市場は2024年時点で約4,871億円(月間)の規模があり、輸入依存度は55.4%に達しています。グローバル展開を視野に入れる場合、FDA(米国)やMDR(EU)の要件にも対応できる試験機関の選定が戦略的に重要です。
| 規制当局 | 主要規格 | 施行時期 |
|---|---|---|
| PMDA(日本) | JIS T 62366-1:2022 | 2024年4月 |
| FDA(米国) | IEC 62366-1:2015 | 2016年 |
| EU | EN IEC 62366-1:2015 | MDR施行後 |
自社内でのユーザビリティ試験は客観性の担保が難しく、PMDAからの指摘を受けるリスクが高まります。第三者機関による試験実施とユーザビリティエンジニアリングファイルの作成支援を活用することで、承認審査の迅速化と市場投入までのリードタイム短縮が期待できます。