多言語技術翻訳市場の現状
日本の翻訳市場規模は約2,000〜3,000億円で、そのうち産業翻訳(技術・特許・マニュアル翻訳)が約90%を占めています。推定2,000社の翻訳事業者が存在する超多極分散型の市場構造で、売上高数十億円規模の企業から専門特化型の中小事業者まで多様なプレイヤーが競合しています。
近年はAI機械翻訳技術の進化により、MTPE(機械翻訳ポストエディット)サービスを提供する企業が増加。従来の人力翻訳に加え、AI翻訳+専門翻訳者チェックによるコスト効率と品質の両立が進んでいます。
ISO17100認証と品質保証
翻訳サービスの国際規格ISO17100:2015は、安定した翻訳品質を提供するために翻訳サービス提供者が具備すべき要求事項を定めています。翻訳工程、品質管理、翻訳者の資格要件(高等教育+2年実務経験、または5年実務経験)、リソース管理などを規定し、日本国内では約1%の翻訳会社のみが取得しています。
特許翻訳においては、各技術分野(電気・通信・機械・化学・バイオなど)の専門知識を持つ実務経験者による翻訳と、弁理士によるクレームチェック、複数段階の品質チェック体制が標準です。国際出願(PCT)対応では、IEC・ISO等の国際規格に準拠した訳語選定やPL法対応の安全表現も求められます。
対応言語の広がり
大手翻訳会社では70〜90言語に対応し、英語・中国語・韓国語の主要言語に加え、東南アジア諸国(ベトナム語・タイ語・インドネシア語)や北欧・東欧のマイナー言語にも対応しています。売上ベースでは英語が約80%を占めますが、中国への特許出願増加に伴い中国語翻訳の需要が拡大中です。
業界トレンド
翻訳支援ツール(CAT)による翻訳メモリ(TM)活用と用語統一が標準化し、大規模マニュアル翻訳での品質安定化とコスト削減が進んでいます。また、翻訳だけでなくDTP制作・多言語Webサイト構築までワンストップで提供する企業も増加。製造業のグローバル展開に伴い、技術マニュアルの多言語展開(15〜30言語同時翻訳)の需要が高まっています。