ペロブスカイト太陽電池市場の最新動向
ペロブスカイト太陽電池は、従来のシリコン型を超える次世代太陽電池として、2026年現在、世界中で商用化競争が激化しています。富士経済の予測では、世界市場規模は2035年に1兆円、2040年には2.4兆円に達すると見込まれており、日本政府も2030年に1GW、2040年に20GW(原発20基分相当)という野心的な導入目標を掲げています。
技術的優位性として、ペロブスカイト型は「薄く・軽く・フレキシブル」という特性を持ち、塗布や印刷技術で量産できるため低コスト化が期待されています。特にタンデム型(ペロブスカイト層とシリコン層を組み合わせた構造)では、Trinasolarが30.6%、LONGiが34.85%という驚異的な変換効率を実験室レベルで達成しており、商用製品でも27%超の効率が視野に入っています。
量産化の最前線では、日本では積水化学工業が2025年1月に新会社「積水ソーラーフィルム」を設立し、2027年に100MW製造ラインの稼働、2030年までに年間1GW級の生産を目指しています。パナソニックも実用化を当初計画の2028年から2026年に前倒しし、「発電するガラス」として建材一体型製品の展開を進めています。海外では、Oxford PV(英国)が既に商用販売を開始し、Tandem PV(米国)が2026年にユーティリティ規模の製品投入を予定、中国勢はUtmoLight(極電光能)が2024年から試験販売を開始するなど、GWスケールの量産体制構築を急速に進めています。
エコシステムの形成も進んでおり、製造装置ではエヌ・ピー・シー(NPC)が米First Solar向けに製造装置を納入、原材料では伊勢化学工業や三菱ガス化学がヨウ素供給を拡大、封止材では味の素ファインテクノが耐用年数を約20年に延長する保護膜を2026年度に生産開始予定です。国内外合わせて85社以上がこの市場に参入しており、太陽電池メーカー、装置メーカー、素材メーカー、建材メーカーなど多様なプレーヤーによる競争と協業が展開されています。
現在の課題は耐久性で、シリコン型の25年以上に対し、ペロブスカイト型は現状5~10年程度の寿命に留まっていますが、封止技術や材料改良により急速に改善が進んでいます。また、中国が100MW~GWスケールの量産で先行する中、日本勢は高効率化と建材一体型などの用途開発で差別化を図る戦略を採っており、グローバル市場での競争優位性確保が鍵となります。