MIMが解決する金属部品製造の課題
金属粉末射出成形(MIM)は、切削加工では困難な三次元複雑形状を高精度に量産できる技術として、自動車・医療機器・精密機器業界で急速に採用が進んでいます。国内MIM市場は2018年度で135億円規模、2025年には265億円に達すると予測され(矢野経済研究所)、参入メーカーは約35社に上ります。
最大の強みは「ニアネットシェイプ」による工数削減です。従来の切削加工では10工程以上かかる複雑部品を、MIMなら成形・脱脂・焼結の3工程で完成させ、材料歩留まりも95%以上を達成します。特に医療用チタン部品や自動車電動化部品など、難加工材×複雑形状の領域で1/10のコストダウン事例も報告されています。
材質選択の多様性も見逃せません。ステンレス(SUS304L/316L/440C)は医療・食品機器向けの定番ですが、プロテリアルプレシジョンは超耐熱鋼まで対応、太盛工業は銅系・貴金属にも展開するなど、メーカー毎の技術特性が顕著です。自動車部品で求められるSNCM系鋼はJUKIが独自開発材「JMOLD®」で対応し、焼入焼戻し済み完成品まで供給しています。
近年のトレンドは超精密MIM(μ-MIM)と大型化の二極分化です。太盛工業のμ-MIM®は±0.01mm精度を実現し内視鏡手術器具に採用される一方、プロテリアルは外寸120×60×25mmの大型部品を量産。設計段階から「MIM化できるか」を検討する工法転換提案も一般化しており、図面段階での材質・公差相談が成功の鍵となっています。