再生医療等製品CROの選定基準
製薬企業やバイオベンチャーが再生医療等製品の治験を委託する際、CROの選定では以下の要素が重要になる。
- 再生医療特有の専門性
- 従来の低分子医薬品や抗体医薬とは異なり、再生医療等製品(細胞・組織加工製品)は製造プロセスそのものが品質を規定する。治験実施計画の立案段階から、製品特性を理解したCROの関与が不可欠となる。細胞の採取・輸送・投与プロトコルの設計、温度管理を含むロジスティクス、施設基準の確認など、再生医療特有のオペレーションに精通していることが求められる。
- PMDA相談の実績
- 日本では再生医療等製品について条件及び期限付承認制度が導入されており、PMDAとの相談(対面助言)が開発戦略上の要となる。薬事戦略相談、事前評価相談、治験相談の各フェーズでPMDAとの折衝経験を持つCROは、承認取得までのタイムラインを短縮できる。特に先駆け審査指定制度の活用を視野に入れる場合、この実績は必須となる。
- CDMO・製造施設との連携
- 再生医療等製品の治験では、GMP準拠の製造施設との密接な連携が求められる。治験薬の製造委託先(CDMO)との開発初期からの協働、製造記録の治験資料への組み込み、逸脱管理など、製造と臨床を一気通貫で管理できる体制を持つCROが有利となる。経済産業省が公表する再生医療等製品CDMO企業リストとの照合も選定の参考になる。
日本の再生医療CRO市場
日本CRO協会の会員企業49社のうち、医療機器・再生医療等製品に対応するCROは約22社が確認されている。2022年の協会会員全体の売上高は2,214億円(前年比7.2%増)で、このうち医療機器・再生医療分野は13.4%増と高成長を示した。
PMDAの統計によれば、2025年3月時点で日本国内で承認された再生医療等製品は21品目に達し、条件及び期限付承認を含む開発パイプラインは年々増加している。製薬企業の開発品目が低分子医薬から生物学的製剤・再生医療へシフトする中、再生医療に精通したCROへの需要は今後も拡大が見込まれる。
2023年時点でCRO業界全体の市場規模は2,500億円超に達し、低分子医薬の開発が縮小する一方で、バイオ医薬・再生医療等製品の割合が増加している。開発難易度の高い再生医療領域では、専門性の高いCROへの集約が進む傾向にある。
グローバル治験への対応
再生医療分野では国際共同治験が増加しており、日本拠点を持つグローバルCRO(IQVIA、Parexel、PPDなど)の存在感が高まっている。特に欧米で先行承認を得た製品の日本導入(ブリッジング試験)や、日本発の技術を海外展開する際には、複数国の規制に精通したCROが必要となる。国内専業CROも海外提携により対応力を強化している。