産業用ドローン事業者市場の現状
2024年度の国内ドローンビジネス市場規模は前年比13%増の4,371億円に達し、2028年度には9,054億円に成長すると予測されています。2022年12月のレベル4飛行解禁により、有人地帯での目視外飛行が可能となり、市街地でのインフラ点検や物流など用途が急速に拡大しています。
国土交通省のDIPS 2.0(ドローン情報基盤システム)に登録された機体数は2024年1月時点で380,194機に達し、前年から53,721機増加しました。産業用ドローンの需要は建設・インフラ点検分野を中心に高まっており、橋梁や大規模建造物に加えて下水道などの狭小空間での点検活用が進んでいます。
主要事業者の技術動向
国産ドローン専業メーカーとして唯一上場している株式会社ACSLは、2023年3月に日本初のレベル4飛行を実現し、第一種機体認証を取得しました。自律制御システムを搭載した「SOTEN(蒼天)」シリーズは、防衛省やインフラ事業者への納入実績があります。
テラドローンは2024年11月に東証グロース市場に上場し、測量・点検に加えて農業分野にも注力。UTM(運行管理システム)を提供し、インドネシアなど海外展開も積極的に進めています。
KDDIスマートドローンは4G LTE・5G通信を活用した遠隔運航技術が強みで、2022年4月に独立法人化。ドローンポートを活用した広域点検サービスを提供し、水空合体ドローンなど独自技術も展開しています。
狭隘空間・非GPS環境への対応
東京メトロの地下トンネル点検で実績を持つJP Droneは、非GPS環境下での自律ホバリング機能を搭載した狭隘空間専用ドローンを開発。FPV技術を活用した目視外飛行で、天井裏やダクト内など通常では困難な点検を可能にしています。
株式会社Liberawareは世界最小級の屋内特化型ドローン「IBIS」を開発し、下水道・煙突・プラント内部など狭くて暗い危険な空間の点検に特化。2025年1月にはKDDIスマートドローンと業務提携し、鉄道・建設現場向けソリューションを強化しています。
三信建材工業は、Visual SLAM技術を搭載した非GNSS環境対応型ドローンで橋梁桁下などGPS信号が届かない環境での安定飛行を実現。AI画像解析により、ひび割れ検出や三次元モデル構築を行う点検サービスを提供しています。
地域密着型サービスの展開
九州電力グループの九電ドローンサービスは2024年4月に法人化し、送電線・鉄塔点検で培った技術を全国展開。狭所・暗所点検、水中点検、赤外線点検など多様なメニューを提供し、レーザー測量や360°パノラマVR撮影にも対応しています。
愛知県豊橋市を拠点とする三信建材工業は、建築防水工事の専門企業として60年超の歴史を持ち、2014年から産官学連携でドローン点検技術を開発。「東三河ドローン・リバー構想推進協議会」を通じて地域のインフラ老朽化対策に貢献しています。
| 技術分野 | 主要事業者 | 特徴 |
|---|---|---|
| レベル4飛行 | ACSL、日本郵便、ANAホールディングス | 有人地帯目視外飛行、一等無人航空機操縦士必須 |
| LTE/5G通信 | KDDIスマートドローン、NTT e-Drone Technology | 広域遠隔運航、リアルタイム映像伝送 |
| 狭隘空間 | Liberaware、JP Drone、九電ドローンサービス | 屋内・地下・非GPS環境対応 |
| AI画像解析 | 三信建材工業、ブルーイノベーション | ひび割れ検出、3Dモデル構築 |
制度改正と今後の展開
2025年3月、国土交通省はDIPS 2.0における飛行許可・承認申請手続きを大幅に簡略化し、審査の迅速化を実現しました。「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリー2飛行)」の改正により、事業化を促進する環境が整備されています。
国土交通省は2016年から「i-Construction」を推進し、IoT・AIの現場導入、3次元データの活用を推奨。ドローンを活用した測量・点検技術はその中核を担っています。
災害対応分野でも活用が拡大しており、2022年4月時点で全国の消防本部の約6割でドローンが導入されています。ドローンショー市場も前年比約2倍と急成長し、花火大会やスポーツイベントと組み合わせた活用が全国各地で行われています。