再生可能エネルギープロジェクトファイナンスの融資機関選定ガイド
日本の再生可能エネルギー市場は、2012年のFIT(固定価格買取制度)導入を契機に急成長し、2025年度には市場規模が2兆円を超える見込みです。太陽光、風力、洋上風力、バイオマス、地熱など多様な電源が開発され、特に10MW以上の大規模案件ではプロジェクトファイナンスが主流となっています。
プロジェクトファイナンスとは、発電事業から生じる売電収入のみを返済原資とするノンリコース型融資です。通常15~20年の長期融資期間が設定され、複数の金融機関がシンジケート団を組成して数十億円から数百億円規模の資金を供給します。DSCR(元利返済前キャッシュフロー÷元利金返済額)が1.2~1.3倍以上となるよう融資条件が設計されます。
三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行の3メガバンクは、2030年までにそれぞれ8兆円、12兆円、10兆円のグリーンファイナンス目標を掲げ、国内外の大型再エネ案件のアレンジャーとして圧倒的なシェアを持ちます。一方、日本政策投資銀行(DBJ)は政策金融機関として長期・大規模な資金供給を担い、「グリーン投資促進ファンド」を通じて環境事業全般を支援しています。
地方銀行・信用金庫も地域の再エネ事業に積極的です。北洋銀行はメガソーラー向けPF実績があり、北陸銀行は再エネファンドスキームの組成支援を行っています。東京スター銀行やあおぞら銀行は産業用太陽光・風力に特化したファイナンスを展開し、オリックス銀行はグループの事業者視点を活かした提案力が強みです。
公的金融機関では、日本政策金融公庫が「環境・エネルギー対策資金」を通じて中小規模事業者を低金利で支援。国際協力銀行(JBIC)は海外再エネ案件への長期融資・リスクテイクを担い、サウジの風力やウズベキスタンの太陽光+蓄電案件など世界各地でプロジェクトファイナンスを組成しています。
生命保険会社も機関投資家として長期安定収益を求め、再エネPFへの参画が増加。第一生命は国内初のバーチャルPPAを開始し、再エネ電力の環境価値を長期調達しています。また、三菱電機フィナンシャルソリューションズや大和エナジー・インフラなど、ノンバンク・ファンドも多様な融資スキームを提供しており、メザニンファイナンスや匿名組合出資など、エクイティに近い資金供給も可能です。
2024年以降は、洋上風力の大型案件(数千億円規模)や系統用蓄電池、データセンター向け再エネ併設など新領域が拡大中。FIPスキームへの移行により市場連動型の収益構造が増え、金融機関もリスク評価手法を進化させています。融資先選定では、事業規模・地域・技術種別・融資期間・協調融資の可否など、多角的な比較検討が不可欠です。