衛星地上局サービス(GSaaS)とは
Ground Station as a Service(GSaaS)は、衛星運用会社が自社で地上局インフラを建設・維持する代わりに、共有または専用の地上局アンテナネットワークを従量課金で利用できるクラウド型サービスです。初期投資(CAPEX)を運用費用(OPEX)に転換し、パス単位や分単位での予測可能な料金体系により、スタートアップから大規模コンステレーション運用者まで幅広く採用されています。
Eurocon sultの調査によれば、GSaaSプロバイダーが所有する地上局は現在約300局あり、2030年までに倍増すると予測されています。市場は5G NTN、AI、クラウドコンピューティングとの融合により指数関数的成長期にあります。
主要プレイヤーと特徴
KSATは北極・南極を含む40拠点以上に200以上のマルチミッションアンテナを展開し、極軌道衛星に対して100%のパスアベイラビリティを提供します。2027年Q1には月探査ミッション向けの20m級LEGS級アンテナ3基をフル稼働予定です。
AWS Ground Stationは2019年開始のマネージド地上局サービスで、米国(オレゴン、オハイオ、ハワイ、アラスカ)、欧州(ストックホルム、アイルランド)、アジア太平洋(シドニー、ソウル、シンガポール)、中東(バーレーン)、アフリカ(ケープタウン)、南米に5.4mアンテナを各拠点2基以上配備し、AWSクラウドとシームレス統合しています。
Leaf Spaceはイタリア発のGSaaSパイオニアで、40以上の完全運用地上局で月間23,000パス以上を99%以上の成功率で処理。2024-2026年の展開計画では高需要地域に18局を新設予定です。
SSCはスウェーデン宇宙公社として世界最大級の民間地上局ネットワークを運営。5mクラスアンテナはWebベースのSS C Infinityポータルで予約可能です。
日本ではスカパーJSATがアジア最大の衛星通信事業者として茨城(SPE)、北海道(SPN)、沖縄(SPS)の3拠点で低軌道衛星向け地上局サービスを提供し、KSATと戦略提携によりアジア太平洋地域での共同展開を図っています。
技術トレンド
GSaaSは単なる地上局アクセスから、データ駆動型サービスプロバイダーへ進化中です。AWS、Azure、Google Cloudとのクラウド統合により、AIベース解析やインテリジェンスサービスを提供。ViasatのReal Time Space Relay(RTSR)はKa帯GEO衛星ViaSat-3経由でLEO衛星データを地上局なしでリアルタイム中継(最大50GB/軌道)します。
周波数帯域では、S帯がTT&C(追跡・テレメトリ・コマンド)の標準、X帯は降雨減衰耐性に優れリンク可用性99.9%、Ka帯は最高データレートを実現(降雨の少ない極域で最適)。AI駆動の自動化、光通信(レーザー)による広帯域化、量子暗号による防衛・重要インフラ向けセキュリティ強化が次世代技術として注目されています。