スマート農業IoTソリューション市場の現状
日本の農業は深刻な労働力不足に直面しており、基幹的農業従事者は1995年の414万人から2022年には122万人まで減少、平均年齢も67.9歳まで上昇しています。この課題を解決するため、IoT、AI、ロボティクスを活用したスマート農業が急速に普及しています。
矢野経済研究所の調査によると、国内スマート農業市場規模は2024年度で331億円、2030年度には788億円まで拡大すると予測されています。現在、大手企業からベンチャー・スタートアップまで約150社以上が参入し、多様なソリューションを提供しています。
主要なソリューション分野
- 自動収穫ロボット:inaho、AGRIST、HarvestXなどが、トマト、ピーマン、イチゴなどの自動収穫システムを開発。人手不足と高齢化に対応し、24時間稼働による生産性向上を実現。
- 圃場センシング・環境制御:セラクの「みどりクラウド」、ニッポーの「ハウスナビ」など、温度・湿度・土壌水分・EC値などをリアルタイムモニタリングし、自動潅水や温度管理を実現。
- 水田スマート管理:笑農和の「paditch」は、スマートフォンから水門・給水栓を遠隔制御。水管理作業を約80%削減し、収量16%向上を実証。
- 畜産IoT:ファームノートの牛向けウェアラブルデバイス「Farmnote Color」は、AIで個体差を学習し発情・疾病を早期検知。全国1,900件以上の牧場で導入。
- 精密農業・データ分析:スカイマティクスのドローン画像解析「いろは」、テラスマイルの経営分析「RightARM」など、データドリブンな農業経営を支援。
- 農業ロボット:クボタ、ヤンマーなどが無人トラクター・田植え機を開発。2026年にレベル3自動運転の実用化を目指す。
政府支援と今後の展望
2024年10月にスマート農業技術活用促進法が施行され、技術導入を後押しする補助金制度が拡充されました。農林水産省の「スマート農業実証プロジェクト」、IT導入補助金、各自治体の支援事業などが利用可能です。
今後は、農業データ連携基盤「WAGRI」やスマートフードチェーンプラットフォーム「ukabis」の活用により、生産から流通まで一気通貫でデータ連携するエコシステムの構築が進むと期待されています。