日本のGLP対応毒性試験受託機関
医薬品や化学物質の開発では、規制当局への申請に先立ち、GLP(Good Laboratory Practice:優良試験所規範)に適合した試験施設での毒性評価が必須です。日本では、PMDA(医薬品医療機器総合機構)、FAMIC(農林水産消費安全技術センター)、経済産業省、環境省がそれぞれ管轄するGLP制度が存在し、OECD-GLP原則との相互受入(MAD)により国際的な信頼性が担保されています。
日本国内には約80の施設がいずれかのGLP適合確認を取得しており、新日本科学(SNBL)やボゾリサーチセンターは1980年代の制度発足当初からGLP適合を維持する老舗受託機関です。イナリサーチ(現SNBL INA)は生殖発生毒性試験で国内トップクラスの実績を持ち、日本で最初にAAALAC International認証を取得した施設として動物福祉面でも高い評価を得ています。
特にサルを用いた試験は日本の強みであり、SNBLグループはカニクイザル飼育施設を自社保有し、長期反復投与試験や安全性薬理試験に対応しています。安評センターは設立以来がん原性試験で国内随一の受託実績を誇り、農薬GLPにも適合しています。メディフォードはPHCグループの一員として、再生医療等製品GLP適合施設を運営し、hERG試験やPDX株を用いた薬効薬理試験など最新モダリティに対応したサービスを提供しています。
GLP適合確認書は発行日から3年間有効であり、施設は定期的な更新調査を受けて継続的な品質管理体制を維持しています。複数のGLP制度(医薬品GLP、農薬GLP、化審法GLP等)への適合は、受託機関の技術力と信頼性を示す重要な指標です。
日本CRO協会の加盟企業を中心に、非臨床試験市場は2022年に2,700億円規模に達し、国際共同治験の増加とともに成長を続けています。製薬企業の研究開発アウトソーシングが進む中、GLPデータの品質と納期が競争力を左右するため、各受託機関はAALAC認証取得や専門人材(JSTP、JCVP認定病理医、JSOT認定トキシコロジスト等)の確保を通じて差別化を図っています。
| GLP区分 | 管轄省庁・機関 | 主な対象物質 |
|---|---|---|
| 医薬品・医療機器GLP | 厚生労働省(PMDA) | 医薬品、医療機器、再生医療等製品 |
| 農薬GLP | 農林水産省(FAMIC) | 農薬、飼料添加物、動物用医薬品 |
| 化審法GLP | 経済産業省(NITE) | 工業化学物質 |
| 労働安全衛生法GLP | 厚生労働省 | 労働環境化学物質 |
受託機関を選定する際は、目的とする試験項目(単回投与毒性、28日間/90日間反復投与毒性、がん原性、生殖発生毒性、遺伝毒性等)、投与経路(経口、静脈内、皮下、吸入等)、動物種(マウス、ラット、ウサギ、イヌ、サル)への対応実績を確認することが重要です。また、海外申請を見据える場合はFDA GLP、EMA GLPへの対応状況も確認すべきポイントです。