トラック運行管理・テレマティクスで2024年問題を乗り越える
2024年4月から施行された働き方改革関連法により、トラックドライバーの時間外労働時間が年間960時間に制限されました。これが物流業界で「2024年問題」と呼ばれる労働時間上限規制です。従来の紙ベースの運行日報では、ドライバーの拘束時間や休憩時間をリアルタイムで把握することが困難であり、法令遵守と稼働率最適化を両立させることは極めて困難でした。
この問題を解決するために、テレマティクス技術を活用したトラック運行管理システムの導入が急速に進んでいます。矢野経済研究所の調査によれば、2024年度のトラック・バス向けデジタルタコグラフ市場は78,800台、2025年度には81,200台(前年度比103.0%)、2027年度には89,000台(前年度比104.6%)と堅調な成長が予測されています。また、世界の商用車テレマティクス市場は2025年に274.9億ドル、2030年には545.8億ドルに達すると見込まれています。
テレマティクス・運行管理システムの主要機能
現代のトラック運行管理システムは、GPS位置情報のリアルタイム追跡、デジタルタコグラフ(デジタコ)との連携による走行データの自動記録、運転日報の自動生成、危険運転の検知と警告、労働時間管理、配車計画の最適化など、多岐にわたる機能を提供します。これらの機能により、運送会社の配車担当者や経営者は、ドライバーの位置情報を3秒~数秒間隔でリアルタイムに把握し、遅延状況や到着予想時刻を正確に算出できるようになりました。
デジタコとクラウドサービスの連携により、走行距離・速度・急ブレーキ・急加速などのデータが自動で記録され、安全運転指導の共通指標として活用できます。また、運転日報やレポートが自動生成されるため、ドライバーの業務後の負担が大幅に軽減され、管理部門の対応力も向上します。一部のシステムでは、AI搭載の通信型ドライブレコーダーを活用し、居眠り運転やわき見運転をリアルタイムで検知して警告を発する機能も備えています。
国内主要サービスの特徴
NTTコミュニケーションズが提供する「LINKEETH」は、約3,000社・10万台の導入実績を持ち、AI危険運転検知、動態管理、アルコールチェック機能を一元的に提供します。スマートドライブの「SmartDrive Fleet」は、シガーソケットに設置するだけで利用でき、安全運転をスコア化する機能が特徴です。パイオニアの「ビークルアシスト」は、ドライバーの動きに異変を感じた場合に画面表示と音声で警告を発し、事故を未然に防ぎます。
また、オクトパスパスの「OCTLINK」は、5つのボタンで操作できる使いやすいデジタコと、月額1,980円~という低コストが特徴です。フレクトの「Cariot」は3秒毎に位置情報を更新し、遅延の少ないリアルタイム管理を実現しています。富士通Japanは「Logifit TM-NexTR」をSaaSで提供し、配車支援システムとの統合により戦略的物流を支援します。
導入効果と今後の展望
テレマティクス導入により、運送会社は安全運転評価を反映した活動推進によって事故削減を達成し、保険のフリート割引率向上による保険料削減効果を得ています。また、荷待ち時間の短縮やトラックの稼働率向上により、労働時間が制約されても物流量を維持できる可能性が示されています。
今後は、エッジコンピューティングとの融合により走行中の異常をリアルタイムで分析し、事故や故障を未然に防ぐ「予防型モビリティメンテナンス」技術が普及すると予測されています。また、地域別の渋滞データや天候情報をもとにしたAI配車の導入も進んでおり、2027年度にはいすゞが自動運転トラックの事業化を目指しています。テレマティクスは、単なる運行管理ツールから業務支援基盤へと進化し、物流業界のDXを牽引する存在となっています。