廃棄物処理法違反による行政処分企業の実態
廃棄物処理法に基づく行政処分は、環境省統計によれば年間200件以上の許可取消が全国で発生しています(令和3年度実績:産業廃棄物処理業212件、令和4年度:230件)。これらの処分情報は47都道府県および政令市がそれぞれ個別に公表しており、調達部門が委託先のコンプライアンス状況を横断的に確認することは実務上極めて困難です。
行政処分の種類には、改善命令(処理基準違反への是正要求)、措置命令(生活環境保全上の支障除去)、事業停止命令(一定期間の営業停止)、許可取消(最も重い処分で業務継続不可)があり、それぞれ廃棄物処理法第14条の3、第19条の3に基づき執行されます。許可取消を受けた法人は、役員を含めて5年間の欠格期間が適用され、その間は新規許可を取得できません。
| 処分種別 | 法的根拠 | 主な違反事由 | 罰則(命令違反時) |
|---|---|---|---|
| 改善命令 | 法第19条の3 | 処理基準・保管基準不適合 | 3年以下の懲役または300万円以下の罰金 |
| 措置命令 | 法第19条の5 | 環境保全上の支障発生・おそれ | 5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金 |
| 事業停止 | 法第14条の3第1項 | 許可基準不適合、虚偽報告等 | - |
| 許可取消 | 法第14条の3の2第1項 | 欠格要件該当、重大な違反 | - |
公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団が運営する産廃情報ネットでは、全国の許可取消処分情報が一元化されていますが、事業停止命令や改善命令といったその他の処分は含まれていません。また、各自治体の公表タイミングや情報粒度にばらつきがあり、リアルタイム性には課題があります。
調達部門がサプライヤー審査で直面する課題は、委託先候補が過去に処分歴を持つかどうかを効率的に確認する手段がないことです。特に建設系産廃や製造業から排出される特別管理産業廃棄物の処理委託では、一度でも不適正処理が発覚すれば排出事業者責任(法第12条第7項)が問われ、措置命令の連鎖や社会的信用の失墜につながります。
典型的な違反事例としては、無許可営業(変更許可を取らずに処理内容を拡大)、マニフェスト虚偽記載(処理未完了を完了と報告)、不法投棄・不法保管(許可容量超過や無許可場所での保管)、委託基準違反(再委託禁止違反)が挙げられます。これらは刑事罰の対象となり、法人には最大3億円の罰金が科される両罰規定も適用されます。
本データセットは、公開情報として散在する全国の行政処分情報を企業単位で統合し、処分履歴の有無を即座に確認できる形式で提供します。調達部門のデューデリジェンス、環境管理部門のコンプライアンス監査、金融機関の与信審査など、リスク管理の実務において不可欠な情報インフラとなります。