公益通報者保護法改正で高まる外部窓口の重要性
2022年6月の改正公益通報者保護法施行により、従業員301人以上の企業には内部通報体制の整備が義務化されました。さらに2025年の法改正では、通報を妨げる行為の禁止や、フリーランスへの保護対象拡大、企業への罰金最大3,000万円の導入など、規制が一層厳格化されています。このような環境下で、中立性・専門性・秘匿性を担保できる外部委託窓口の導入が急速に進んでいます。
消費者庁の実態調査によれば、上場企業の99.9%、非上場でも従業員300人以上の企業の82.6%が既に内部通報制度を導入済みです。しかし、従業員の61.4%が制度を十分に認知していないという課題も浮き彫りになっており、単なる制度設置だけでなく、通報者が安心して利用できる信頼性の高い窓口設計が求められています。顧問弁護士を窓口とすることは中立性に疑義があるとされ、独立した第三者機関への委託が推奨されています。
外部委託サービスは大きく3つのタイプに分かれます。1つ目は、弁護士事務所や法律専門家が運営する「法務特化型」で、西村あさひ法律事務所やTMI総合法律事務所など大手法律事務所が代表例です。2つ目は、エス・ピー・ネットワークやデロイト トーマツのような「危機管理・リスクマネジメント専門会社型」で、通報受付だけでなく調査支援や再発防止策まで一貫対応します。3つ目は、ダイヤル・サービスやクオレ・シー・キューブのような「カウンセリング・人事専門型」で、産業カウンセラーや社労士が中心となり、ハラスメント相談と内部通報を統合的に運用する点が特徴です。
グローバル展開企業には、NAVEX GlobalのEthicsPointのような多言語対応プラットフォームが選ばれています。24時間365日、数十言語でのWeb・電話受付が可能で、暗号化通信やISO/ISMS認証によるセキュリティ対策も万全です。料金体系は事業者によって大きく異なり、月額5,500円から利用できるサービスから、月額5万円以上のフルサポート型まで幅広く、年間通報件数や対応チャネル数に応じた従量課金型も選択可能です。
導入企業からは「就業時間外や土日にも相談できる体制が整い、通報件数が増加した」「専門家が対応することで、初期段階での問題整理がスムーズになった」といった声が寄せられています。SUBARU社の事例では、2003年から内部通報制度を設置し、2008年にクオレ・シー・キューブの外部窓口を追加導入したことで、秘匿性の向上と夜間・土曜対応が実現し、相談のハードルが下がりました。継続契約率95%以上という数字が、サービスの実効性を物語っています。
選定時の重要ポイントは、相談員の保有資格と専門性です。弁護士・社労士・公認不正検査士・産業カウンセラー・公認心理師など、多様な専門家がチームを組むサービスは、法務・労務・メンタルヘルスの複合的な問題にも柔軟に対応できます。また、通報内容の企業への報告形式も確認すべきで、単なる転送ではなく、複数回のヒアリングを経て具体的で調査可能なレポートに仕上げるサービスほど、その後の対応がスムーズになります。エス・ピー・ネットワークのように、案件終結まで通報者と企業の間に立って伴走するサービスもあります。
2026年にはカスタマーハラスメント対応も法制化される見込みで、従業員だけでなく顧客や取引先からの通報も視野に入れた体制整備が必要です。内部通報窓口は、単なるコンプライアンス対応を超えて、組織の自浄作用を発揮し、外部へのリークを未然に防ぐリスクマネジメントの要となっています。適切な外部パートナーの選定が、企業の信頼性と持続可能性を左右する時代です。